海外で商標登録を検討されている方は是非ご覧ください
高橋商事さんは今後、海外事業の展開を拡大する計画があります。
プロジェクトを進めるにあたり、拠点先の国で事業商標を取得するかどうかを検討しています。その質問に小野尾弁理士がお答えします。
海外で商標登録をしたい場合にどうすればいいですか?
希望される国の官庁に直接手続きを行う、または、マドリッド協定議定書(以下、マドプロ)に基づく国際出願制度を利用して、複数の国に同時に出願する方法があります。
もちろん、出願したい商標、商品やサービスを決めなければいけないことは国内と同様です。
ああ、マドプロというのは聞いたことがあります。マドプロの注意点はありますか?
本国官庁における基礎出願又は基礎登録の内容をもとに、海外に出願手続きを行う制度となっています。
日本が本国の場合は、日本で商標出願(又は登録)がされていて、その内容について希望国を指定して手続を行うようになっています。
つまり、まずは日本で商標出願を済ませておく必要があります。
ただし、出願を基礎とした場合、5年以内の日本の出願が拒絶されたり、取消・無効にされたりすると、その範囲で国際登録自体が取消になります(セントラルアタック)この点を考慮しますと、登録されていることが理想ではあります。
また、マドプロは条約なので加盟している国でないと国際出願制度が利用できません。
マドプロに加盟していない国については、その国の官庁に直接出願する必要があります。
特許庁HP:締約国一覧
【リンク:https://www.jpo.go.jp/tetuzuki/t_shouhyou/kokusai/madopro_kamei.htm】
では、マドプロの加盟国については、国際登録がされればその国での商標権が認められるんですね?
いいえ、マドプロに基づく国際登録出願制度の利用による「国際登録」とは、加盟国のうち希望する国々への、一括での「出願」程度の意味になります。
実際はここから、各国ごとに、各国のルールによって審査されたのちに、いわゆる「各国ごとの商標登録」の可否が通知されます。
そうなんですか。では各国毎に手続することと何が違うんでしょう?
それぞれの国に個別に出願手続する必要がなく、複数の国に一度に出願できます。
日本を本国官庁とした場合、日本の特許庁に手続きをすればよいわけです。加えて、更新についても一括で管理することができます。
特許庁HP:マドリッド協定議定書の概要
【リンク先:https://www.jpo.go.jp/seido/s_shouhyou/mado.htm】
では、海外での登録可能性を確認してロゴを制作するには、どうすればいいですか?
各国のルールに基づいて審査されているので、それに対応した調査を事前に(ロゴ製作段階で)するのが理想です。
しかし、調査費用は区分・商標の数に加えて、登録する国の数に応じて発生することになりますので、全ての国で徹底した調査を行うと相当な額となります。
※LOGO PLUSで外国での登録もご検討のお客様は、個別にご説明いたしますので、あらかじめご相談ください。
また、国際登録出願の話に戻りますが、各国での審査の結果、このままでは登録できないという通知を受けた場合はどうなりますか?
一定の応答期間内に通知に対して対応することが必要になります。
また、現地代理人を通じて現地の官庁へ対応を行わなければならないものもあります。
では、各国でも、日本と同じような登録証が発行されますか?
各国審査に移行する段階で国際登録証明書(CERTIFICATE OF REGISTRATION)というものが発行されます。ただし、国際登録は指定した全ての国で商標権が保護されたことを証明するものではありません。(繰り返しになりますが、マドプロに基づく国際出願制度の利用による「国際登録」とは、加盟国のうち希望する国々への、一括での「出願」程度の意味になります。)
各国での保護が認められた場合は、保護認容声明というものが送付されます。
また、話は変わりますが、海外では、商標を使っていなくても登録はできるのですか?
実際の使用を求められる国もあります。
また、更新とは別に、何年か経過した後に商標を使用している証拠の提出が求められる国もあります。
そうなんですね。海外も使用開始前に登録できるのかと思ってました。
日本のように先願主義(出願が早いものが勝つ)を採用している国もあれば、アメリカのように使用主義(先に使用している方が強い)を採用している国もあります。
今日はいろいろ教えてくださりありがとうございました。
今後ともどうぞお気軽にご相談ください。